脊髄小脳変性症の種類とそれぞれの特徴

脊髄小脳変性症は、遺伝あるいは不明の原因によって小脳が徐々に萎縮し、運動失調症状が進行していく病気です。主に以下で説明する7種類があります。

フリードライヒ失調症

5~15歳ごろに発症し、手足や躯幹の運動失調が進行します。病変は脊髄の後索と側索にあります。この結果、脊柱の側彎、腱反射消失、深部感覚の障害、筋緊張の低下と足の先端の発育不全のために凹足を生じます。

しばしば心筋の障害を伴い、多くは心不全や肺炎で亡くなります。原因は第9染色体に異常があり、常染色体劣性遺伝をします。

オリーブ・橋・小脳萎縮症(OPCA)

中年以降に発症し、小脳性運動失調とパーキンソン症状、それに自律神経症状が進行していきます。病変は小脳、橋、大脳の線条体と脊髄の自律神経(中間灰白質)にあります。

この結果、小脳性運動失調、眼振、起立性低血圧、下肢の発汗低下、パーキンソン症状、腱反射亢進などがみられます。診断はMRIで橋と小脳の萎縮をみます。治療はヒルトニンの点滴が有効で、内服薬もあります。遺伝はありません。

シャイ・ドレーガー症候群

アメリカのシャイとドレーガーが見いだした疾患です。中年以降に起立性低血圧、尿失禁、小脳性運動失調が発症し進行します。オリーブ・橋・小脳萎縮症に似ていますが、最初から起立性低血圧、尿失禁、下肢の発汗低下などの自律神経症状が強くあらわれるのが特徴です。遺伝はありません。

⇒シャイ・ドレーガー症候群(作成中)

ルイ・バー症候群(毛細血管拡張性運動失調症)

幼児期に発症し、眼球結膜、顔面、頸部の末梢血管が拡張していることが特徴です。小脳性運動失調のほか、血清の免疫グロブリン、特にIgAが欠損し、リンパ球も減少しています。

このため呼吸器感染症をくり返し、悪性リンパ腫で死亡することが多くあります。常染色体劣性遺伝をします。

晩発性皮質性小脳萎縮症(LCCA)

中年以降に小脳性運動失調だけがゆっくりと進行する、予後のよい病気です。ただし、これと似たものにアレビアチン(抗てんかん薬)中毒、アルコール中毒、肺がんなどで起こる運動失調症があり、注意を要します。

マシャド・ジョセフ病

わが国に多い、常染色体優性遺伝をする小脳失調症です。いろいろな年齢で発症し、小脳性運動失調症、ジストニア(ゆっくりとした不随意運動)、筋固縮が進行します。特に「びっくりまなこ」と呼ばれる、あたかも目を見張ったような表情が特徴的です。

原因は第14染色体のCAGが延長している、CAGリピート病です。

ハンチントン舞踏病

歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)

わが国に多く、注目されている病気です。小児期発症ではミオクローヌス(すばやい不随意運動)を伴うてんかんが進行します。成人に発症すると、小脳性運動失調症、てんかん、舞踏病様不随意運動などをみます。

これも常染色体優性遺伝をとりますが、原因は第12染色体にあるCAGが異常に伸びているためです。これもCAGリピート病の1つです。

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