急性散在性脳脊髄炎(ADEM)の症状と治療方法

多発性硬化症とは違い、再発は無いとされています。脳炎ワクチン接種後に1~2週間たってから生じるものと、様々なウイルスによって感染し、2~6週間経ってから生じる「感染後脳脊髄炎」とがあります。

感染後ADEMは小児に発症することが多く、特発性ADEMは若年成人に多い傾向にあり、有病率は人口10万人あたりで2.5人くらいとされています。

原因

原因は大きく分けて以下の3タイプに分かれます。

  • 感染後ADEM
  • ワクチン接種後ADEM
  • 特発性ADEM

感染後ADEM

発疹性ウイルス(麻疹、風疹、水痘・帯状疱疹等)、ムンプスウイルス、インフルエンザウイルスに感染した後に発症することが多いとされています。

他にもEBウイルスやコクサッキーウイルス、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス等のウイルスに加えて、マイコプラズマ、キャンピロバクター、溶連菌などに引き続いて発症することもあります。

一般的には気道、消化管感染症などの後に起こりますが、起炎病原体を同定できないことが多いようです。

ワクチン接種後ADEM

種痘や狂犬病、麻疹、日本脳炎、インフルエンザ、百日咳、ジフテリア、破傷風、ムンプス、B型肝炎等のワクチン接種後に引き続いて発症するタイプがワクチン接種後ADEMです。

突発性ADEM

感染症やワクチン接種を行った病歴がなく、明らかな誘因がないものを指します。

主な症状

頭痛や発熱、意識障害が急激に発症し、重症化すると痙攣、小脳性運動失調、四肢の麻痺、昏睡を生じます。また、呼吸麻痺が急速に進行し、不幸な結果となることも少なくありません。

冒頭でも少し触れましたが、感染後、またははワクチン接種後、数日~4週後(多くは1~2週後)に急性に発症し、基本的には単相性の経過をとります(再燃したり、軽快・増悪を繰り返すことがありません)。

診断

MRIで広汎(こうはん)に白質の病変(末梢血の白血球増加、赤沈亢進、CRP陽性等)を認め、髄液ではリンパ液とたんぱくが増加しています。初期では他の疾患との区別が難しいとされており、病状の経過から総合的に診断するしかありません。

この様な特徴もあるため、過去の感染症状及びワクチン接種の有無が診断の手助けとなるため、まずは病歴から詳しく調べていくことが非常に重要となります。

尚、一般的な検査として以下の検査を行います。

  • 血液検査
  • 髄液検査
  • 頭部CTおよびMRI
  • 脳波検査等

治療

症状が治まれば回復しますが、全身状態を改善させるために入院して、絶対安静を保たなければなりません。また、副腎皮質ステロイド薬の大量投与を行いますが、急性散在性脳脊髄炎はそれでも死亡率が高い疾患です。

重症例では水溶性ステロイドパルス療法が第一に選択されます。メチルプレドニゾロン1000mg/日を100mlの生理食塩水に溶かし、2時間程度かけて点滴静注、これを1日1回3日間(1クール)行い、様子を見ます。

症状が改善されない場合、上記の点滴静注を1~2クール追加します。

本文中でも説明しましたが、この疾患は基本的に単相性の経過を取ります。そのため、再発はしないと考えられており、多くの場合は完全に回復し、予後も良好です。

しかし、感染後ADEMの劇症型である「急性出血性白質脳炎(Hurst脳炎)」という疾患は症状の進展が非常に早く、重症化します。重病化した例ではステロイドや減圧療法等の治療による生存例もありますが、多くは10日~2週間で死亡してしまう程に重篤な症状となります。

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