筋強直性ジストロフィー症の症状と診断方法・原因について

筋強直性ジストロフィー症は、筋肉がいったん収縮するとそのままの状態が続き、ふたたびリラックスするまでに時間がかかります。これがミオトニー(筋強直)です。筋細胞が徐々に壊死を起こし、やせていく筋ジストロフィーの一種ですが、全身にいろいろな症状を起こす点が特異です。

筋強直性ジストロフィー症の特徴(症状等)

10代後半から握力が弱くなり、握った手が開きにくいことを自覚します。ただし、あまりにも進行がゆっくりとしているので、自分が病気であることすら自覚していない場合もあり、ときには心電図の異常から病気がわかることがあります。ドアのノブをつかんでドアをあけるのは容易にできますが、ノブから手を離すまでに数十秒の時間がかかることがあります。

ほとんどの筋肉疾患は、躯幹に近い近位筋から障害が始まりますが、筋強直性ジストロフィー症では、指先や足先から病気が始まります。頻度は10万人あたり4~5人で、もっとも多い筋萎縮症の1つといえるでしょう。

この病気は全身に異常がみられますが、まず額がはげ上がっていきます。女性はまゆが薄くなり、額から髪が薄くなっていきます。まぶたが垂れ下がり、目には白内障が始まります。

筋強直性ジストロフィー症の母親から生まれた先天性筋強直性ジストロフィー症の子どもは特徴的なくちびるをしています。よく「鯉の口」といわれて、くちびるをとがらせていますが、筋力がないのが特徴です。このために哺乳が困難となります。

四肢筋は遠位から徐々に筋力が低下していき、つま先立ちがむずかしくなります。くびの筋肉が特におとろえやすく、寝た位置から頭を起こしにくくなります。のどの筋肉の障害から、鼻声となります。顔では側頭部の筋肉が薄くなり、また、くびの筋肉(胸鎖乳突筋)がいちじるしく薄く、弱くなります。心臓の筋肉も障害を受け、徐脈、不整脈が起こります。心不全から亡くなることも多くみられます。

脳の変化からしばしば知能障害、性格異常もあらわれます。ホルモンの異常も特徴的で、平滑筋では食道や腸の運動異常が起こります。

診断について

診断は血液、筋電図、筋生検で確定されます。血液ではクレアチンキナーゼの上昇があり、またしばしば糖尿病を合併します。筋電図は特に重要です。電極の針を筋肉に差し込むと、通常はザッと一過性の音が聞こえるだけですが、急降下爆撃機やオートバイレースのようなブーンという音がします。

原因

病気の原因は第19染色体の異常です。ここでつくられるミオトニン・プロテインキナーゼという酵素ができないことによります。常染色体優性遺伝をするので、子どもに伝わる確率が高いのが特徴です。

第19染色体のこの部分にはCTGというDNAの塩基配列のくり返しが正常では30以下ですが、50以上にふえています。このことから、CTGトリプレット病ということもあります。

治療

治療で筋強直現象を抑えることはできますが、病気の進展は防げません。50歳前後で心不全や肺炎で亡くなることが多いのです。

いっぽう、先天性ミオトニー(筋強直症)は別名を「トムゼン病」ともいいます。この病気ではいったん握ると手を離しにくくなることは同じですが、筋力低下や筋萎縮は生じません。これは良性の病気で、筋肉はむしろ筋骨が隆々と見えることもあります。

この病気の原因は第7染色体の異常によります。この結果、筋細胞の塩素イオンの出入りがむずかしくなるために強直が起こるのです。

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