解剖学的検査とは?

解剖学的検査とは、体のどの場所に病気があるかを知る検査です。以下にその種類と詳細を紹介していきます。

単純x線検査

以前に比べて行われる頻度は少なくなっていますが、体に害がないこと、直ちに検査できることから、最初に行われることが多い検査です。

頭痛では副鼻腔(ふくびくう)の炎症の有無を判断し、変形性頚椎症や脊柱管狭窄症、脊髄腫瘍や転移性脊髄腫瘍等の診断にとても有力です。

また、頭部では前後の像と側面像、頚椎では斜位を含めて4方向の撮影を行います。これは、頚椎の椎間孔(ついかんこう)の狭小化の有無を確かめるためです。

CT検査(コンピュータ断層撮影)

脳の気質的疾患が疑われる場合、まずはX線CTを行います。検査の部位としては、頭部、脊髄、筋のCT検査となります。

CTは耳の穴と目(眼窩)を結ぶ線を基準とし、これに並行な面で1cm間隔で検査していきます。」1cm間隔で検査することで、フィルムには約16枚の写真が並ぶことになります。

写真は最初に一番左上(脳の一番下)を見て、どういう角度で撮影したかを確認していきます。そして、次に1枚ずつ写真を確認していくのです。

脳の写っている灰色の度合いを基準とし、白く見えている部分を高吸収といい、黒く見えている部分を低吸収といいます。高吸収になるものには出血や石灰化があり、低吸収になるものには浮腫や梗塞、脂肪等があります。

この様にして、3次元的に病変の位置や性質を確かめながら診断をしていきます。

ヨード造影剤静注によるCT検査

増強CTとも言われており、オムニパーク等のヨード造影剤を100ml静注した後、CT撮影を行う検査方法です。

脳腫瘍や発症後約2週間の脳梗塞、脳炎や多発性硬化症の急性期等で増強効果が見られ、単純CTよりも高吸収となります。

慢性硬膜化血腫では、血腫は増強効果を示さずに、脳とのコントラストがついて診断が容易になるという利点があります。

MRI(磁気共鳴画像法)

X線を使用しないために安全な検査方法と言えますが、大きな磁場がかかるため体内に金属が入っていると正しく検査が行えない場合があります。

実際に検査前には金属探知機でチェックを行い、特に心臓ペースメーカーが入っている場合には検査は行えません。

磁場の強度が0.25テスラ以下の機械を「常伝導MRI」、0.5から3.5テスラの磁場を用いているものを「超伝導MRI」と言います。

また、撮影の条件には3種類あり、T1強調画像、T2強調画像、FLAIR(フレア)画像の3つとなります。T1強調画像の特徴は、髄液腔(ずいえきくう)が黒く(低信号という)見られることで、病変は基本的に黒く抽出されます。

CTスキャンにおけるヨード造影剤のように、ガドリニウムの静注によって病変が白く(高信号)増強されます。

一方、T2強調画像では髄液腔が白く見られ、病変は一般的には白く抽出されます。しかし、本当の病巣の他に、その周辺の浮腫も高信号になり、病変が実際よりも広く見えることが多く、正確な病変の広がりにはT1での判定が必要になります。

FLAIR(フレア)画像は髄液の信号を低く抑えて、脳梗塞のT2強調画像における高信号を強調してみせる方法です。

MRIがCTと大きく違う点は、骨のアーチファクトが無いことでしょう。CTでは骨が白く写り、骨に囲まれた部分(特に後頭蓋窩)と呼ばれる複雑な部分が判定できません。また、画像がCTよりも格段に細かく、正確な診断が可能となります。

しかし、MRIは価格が非常に高価であることから、どうしても緊急時には間に合わないことが多く、脳卒中の診断にはまずCT検査を行い、暫くしてから病変の広がりや後頭蓋窩(こうとうがいか)の病変の有無についてMRIで検査するのが通常で、脳や脊髄の器質的病変、筋疾患を精査するときに用いられます。

MRA(MR血管造影)

MRAは、MRIを用いて頭蓋内外の重要な静脈を検査する方法です。総頚動脈や内頚動脈、ウィリス輪、椎骨動脈、脳低動脈等の変化を捉えることが可能です。

MRAは年々画像の質が向上しており、これまでは入院して危険性のある血管造影を行っていた病気であっても、外来で危険のリスク無しに検査を行うことが可能となりました。

MRAによって動脈の状態を正確に知ることができますので、例えば動脈が90%近く狭くなっていれば、近い将来に脳梗塞を起こす危険性が高いということを事前に知ることができます。

この様に、MRAは脳血管障害の危険性を知り、治療方針を立てる上で非常に重要で大切な検査となります。尚、MRIと同様に、体に金属が入っていると検査を行うことができません。

SPECT(脳血流シンチグラム)

ヨード123IMP等の放射線を出す物質を静注し、ガンマカメラで頭の外からその方斜線を撮影して脳の血流を測定する検査方法です。CTやMRIが脳の形態異常を表すものであるとすれば、SPECTは血流等の脳機能の異常を表すものと考えられます。

SPECTの対象疾患としては、脳血栓症や脳塞栓症といった脳梗塞やアルツハイマー病などの認知症の疾患です。アルツハイマー病では、CTやMRIなどでまだ変化を捉えることができない時期からすでに前頭葉の血流が低下するため、SPECTによって正確な診断をすることができます。

脊髄造影(ミエログラフィー)

脊髄腔内にヨード造影剤を注入し、体の向きを色々と変えながらX線撮影を行う検査方法です。変形性頚椎症や脊柱管狭窄症、脊髄腫瘍などの診断を行なう際、入院して検査を行います。

現在では、MRIで殆ど代用されるようになっており、最近ではあまり用いられる検査ではありません。

血管造影

血管造影は、頚動脈造影、椎骨動脈造影、セルジンガー法による脳血管造影があり、様々なカテーテルを動脈内に挿入し、ヨード造影剤を注入すると同時に撮影を行います。

以前では殆どの脳卒中で行われていた検査方法ですが、最近ではより危険性の少ないMRAで代用することが多くなっています。

しかし、現在でもくも膜下出血の際に動脈瘤の検査を行うためには欠かせない検査方法です。

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