小脳梗塞の原因と症状・治療方法・予防について

このページでは、小脳梗塞の原因と症状・治療方法・予防について解説しています。

原因

小脳梗塞は小脳出血の4倍の頻度で、全脳梗塞の4%とされています。主に血栓症によりますが、塞栓症でも起こりえます。

左右の椎骨(ついこつ)動脈のうち、生まれつき細い側に梗塞が起こりやすいとされており、また、外傷によって血管が閉塞して小脳梗塞になるので、若い人にも多くみられる梗塞ともいえます。

症状

回転性のめまい、歩行時のふらつき、頭痛や嘔吐を生じます。時には構音障害(発音が正しく行えない症状)や意識障害が現れ、これらの症状に大なり小なり脳幹(中脳、橋(きょう)、延髄)の症状が加わってきます。例えば感覚障害、複視、眼振等です。

診断

診断はCTでは見逃すことが多く、MRIが必要となります。それもDWI(拡散強調画像)という撮りかたが推奨されており、早期から病巣が白く写ります。

治療と予防

脳梗塞の治療に準じます。すなわち脳血栓であれば脳浮腫(のうふしゅ)の予防薬とオザグレルナトリウムアルガトロバンなど、脳塞栓であればt-PAあるいはエダラボンを投与します。

一般に小脳梗塞は経過が良いことが多く、症状も速やかに消失して後遺症を残さないことも多いという特徴があります。

小脳を栄養する血管の状態をMRA(MR血管造影)などで調査して、状態に応じて治療します。

予防に関しては脳血栓症の予防に準じますが、禁煙と水分を十分に摂取することが肝心です。

t-PAとは?

身体の中にはもともとプラスミンという酵素があります。プラスミンは前駆体であるプラスミノゲンから作られ、血栓を溶かす作用があります。t-PA(tissue-plasminogen activator:組織プラスミノゲン活性化因子)は、プラスミノゲンの作用を増強することで血栓を強力に溶かす酵素です。

これまでの血栓溶解薬は投与しても、血栓を溶かす力は十分ではなく、血栓を溶かそうとしてたくさんの量を使うと全身で出血を起こしやすくなり、なかなかうまく治療ができませんでした。そこで登場したのが遺伝子組み換えにより作ったt-PA製剤です。t-PAは血栓自体に作用して血栓を溶かすため、血栓溶解療法に適した薬です。

出典:血栓溶解療法(t-PA治療)

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