脳塞栓症の症状と治療方法について

脳塞栓症は、心臓や頸部の動脈分岐部にできた血栓がはがれて血流に乗り、脳の動脈につまるために起こります。心房細動という不整脈があると、心臓内に血栓ができます。

症状

あとから何時何分に始まったといえるくらい、突然に発症します。症状は脳血栓症と同じように半身の運動まひや感覚障害、あるいは失語症や半盲がみられます。特に失語症の頻度が高く、運動まひのない失語症はまず脳塞栓症と考えてまちがいありません。

けいれんを生じることも多く、また脳卒中の後遺症としてしばしばてんかんを残します。つまった血栓は2~3日のうちにふたたび溶けて流れるようになります。
このとき死んだ脳組織にふたたび勢いよく血流が入り、出血したり、強烈にむくんで重症化します。多くは意識障害が急激に悪化します。

診断

当初はX線CTで黒い影が見られます。血栓が溶けて流れると、そこが出血し、CTに白い影があらわれます。心電図では心房細動という不整脈を認めます。精密検査のためには、脳血栓症と同じようにMRI、SPECTをおこないます。脳波は塞栓を起こした側で電位が下がり、おそい波形になります。

治療

急性期には脳のむくみを取るグリセオールを積極的に使用します。脳塞栓が始まってから3時間以内ならt‐PAという薬の点滴で劇的に改善することが期待できます。これは国際的に認められている治療法ですが、日本ではまだ未認可です。血栓が溶けて再開通したことを確認できたら、ワーファリンという血液凝固を抑える薬を始めます。

予防

心房細動がある場合には脳塞栓症を予防するためにワーファリンを服用します。ただし、一人ひとりに適合した量があるので、毎月血液検査をおこないます。ワーファリンを服用中は納豆、クロレラ、トマト、ほうれんそうを避けなければなりません。

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