若年層にも起こりうる脳卒中

脳梗塞の平均発症年齢は67歳で、高齢になるほど危険性が増します。50歳以下の脳卒中は珍しく、原因になる病気がいくつかあります。

心房細動による脳塞栓症

心房細動による脳塞栓症は35ないし40歳以降に始まります。心電図で心房細動と診断されたら、注意をしなければいけません。

膠原病による脳血栓症

膠原病に伴う脳血栓症は珍しくありません。大動脈炎症候群では大動脈から分岐する総頸動脈や椎骨動脈などの太い動脈に閉塞が起こります。

SLE(全身性エリトマトーデス)では全身の血管炎が起こり、脳内の中径~小径の動脈が炎症し閉塞していきます。この結果、脳血栓症が起こります。

モヤモヤ病(ウィリス動脈輪閉塞症)による脳血栓症や脳内出血

モヤモヤ病では頭蓋骨の外の血管は正常ですが、頭蓋内に入った太い動脈に閉塞が起こります。この結果20歳前後で脳梗塞や脳内出血になります。

血小板増多症、真性多血症、白血病、血小板減少性紫斑病、血友病

血小板増多症では血小板が100万を超えると脳血栓症を起こすことがあります。特に真性多血症では赤血球が多くなり、脳血栓症を好発します。

白血病や血小板減少性紫斑病では血小板が減少し、くも膜下出血を起こします。血友病も同様です。

先天性動脈瘤によるくも膜下出血

50歳未満のくも膜下出血は先天性の動脈瘤が破裂することによります。20歳前後から好発し、若年の脳卒中ではもっとも多いものです。

経口避妊薬(ピル)服用に伴う脳血栓症

経口避妊薬を服用している女性は血小板凝集能が亢進し、血栓を起こしやすくなっています。このときに喫煙や脱水症があると脳血栓症を発症することがあります。頭痛が黄色信号です。

ワレンベルク症候群

ワレンベルク症候群は延髄の血栓症で、回転性のめまい、嚥下障害、小脳性運動失調、顔面とくび以下の温痛覚障害(顔面が右ならくび以下は左というように症状のある側が交代する)、ホルネル症候群(眼瞼下垂、瞳孔の縮瞳、発汗減少)などの特徴的な症状を示します。

ただ、運動まひはふつう起こりません。左右どちらかの椎骨動脈が閉塞し、その側が先天的に細いことが原因です。急にくびをひねるなどの外傷が誘因となります。

悪性腫瘍に伴うDIC(播種性血管内凝固)

悪性腫瘍たとえば卵巣がんや肺がんのときに血液の凝固機能が亢進してくることがあり、細い血管を中心に血栓症が起こります。もとの病気の治療が中心になります。

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