耳から生じるめまいの種類と特徴

内耳にある三半規管の内部はリンパ液で満たされていて、からだが動くとリンパ液の流れが変わります。三半規管には3つの半円形の管があり、たがいに90度の角度をもっています。そのためどの方向へからだが動いているかを容易にとらえることができます。

耳石器には炭酸カルシウムの小さな結晶がたくさんあり、これが感覚器の上にのっています。からだに重力や遠心力が加わると、炭酸カルシウムの結晶が動き、からだの傾きや重力、加速度をキャッチすることができます。

三半規管と耳石器からの感覚情報は前庭神経によって脳幹へ伝えられます。これらの器官、すなわち三半規管、耳石器、あるいは前庭神経に障害があるめまいが耳から生じるめまいです。

耳から生じるめまいでは、めまいと同時に耳鳴り、難聴、耳閉感があらわれ、まためまいと並行して軽快します。

検査

  • 聴力検査…難聴の有無やその程度を調べます。
  • 足踏み検査…目を閉じ、30秒間足踏みをします。
  • フレンツェルの眼鏡による眼振検査…外が見えないようにして目の動きを見ます。
  • 視運動性眼振検査…目の前の動く物体を注視し、眼振の反応をみます。
  • 温度眼振検査…耳に水を入れて、目の動きを見ます。
  • 電気眼振計…目の動きを電気的に正確に解析します。
  • ロンベルク検査…直立して閉眼し、からだの動揺をみます。

疾患

耳から生じるめまいのおもな病気としては、次のようなものがあります。

メニエル病

⇒メニエル病(作成中)

前庭神経炎

かぜの症状から1~2週間して、突然回転性のめまいで始まります。めまいのなかでも、もっとも強烈な症状です。食事をすることも、動くこともできませんが、2~3週間ほどで自然に軽快します。前庭神経炎の原因は、おもにかぜ症状のあとに起こるので、アレルギー反応が関係しているのではないかと考えられています。

治療は強いめまいに対してめまいを抑える薬を使ったり、ステロイド薬を使うこともあります。

突発難聴

聴神経に炎症が起き、突然強い難聴が起こります。耳鳴りを伴うこともありますが、めまいは比較的軽いものです。

⇒突発難聴(作成中)

聴神経腫瘍

聴神経に腫瘍ができますが、良性の腫瘍のため転移することはありません。ほとんど多くは徐々に難聴が進みますが、めまいは比較的軽いものです。20%は突発性難聴として始まることもあります。

腫瘍が大きくなると周囲の脳組織を圧迫して顔面神経まひなどのさまざまな症状を引き起こします。小脳が圧迫されると、ふらつき歩行があらわれます。

治療は、腫瘍を手術で取り除きます。ただし、年齢によっては手術後遺症とのかねあいで、経過観察をすることもあります。

抗生物質などの薬物から起こるめまい

かつて結核の治療によく用いられたストレプトマイシンやカナマイシンなどの抗生物質の後遺症でめまいを残すことがあります。もとの病気の治療が終わって数年あるいは20~30年たってからめまい、耳鳴りが始まることもあります。治療には、めまいを抑える薬を服用します。

前庭神経が圧迫されるためのめまい

加齢によって動脈硬化が起こると動脈が延長し蛇行します。そのため前庭神経が圧迫を受け、「ゴッ、ゴッ」という耳鳴りと同時にめまいを起こします。
治療には抗けいれん薬(カルバマゼピン)を投与したり、手術で血管と神経を離し、間にスポンジをはさむことで完治します。

騒音難聴から起こるめまいなど

ヘッドホンで大きな音をくり返し聞いたり、プラモデルを組み立てる際などにシンナーをかぎすぎると、めまいを起こします。

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