脳炎の症状と治療・診断方法について

脳炎は脳の実質に炎症を起こす感染症です。原因のほとんどはウイルスによります。原因ウイルスとしては次のようなものがあります。単純ヘルペス脳炎ウイルス、EBウイルス、サイトメガロウイルス、日本脳炎ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、風疹ウイルスなどです。

症状

2、3日ないし1~2週間の経過で発熱、頭痛、意識障害に加えてけいれん発作や異常行動、失語症など大脳の症状が出現します。

診断

発熱、意識障害、けいれんがみられれば、まず脳炎を疑って検査をすすめます。脊髄液の検査をすると、細胞数、たんぱくが増加しています。髄液中のウイルスに対する抗体を調べ、原因をあきらかにすることが可能です。

脳波は意識障害に応じて徐波(遅い脳波)が目立つようになり、同時にてんかん性の変化(棘波というとがった脳波)があらわれます。CTやMRIでは、炎症が強い部位に異常を認めます。脳血流シンチグラムでは、炎症のある部位の血流が目立って増加しています。この変化は、脳炎が進行して障害が進むにつれ、逆に血流の低下を生じるようになります。

治療

単純ヘルペス脳炎ではアシクロビルあるいはビダラビンの点滴が有効です。これらの薬剤の開発前は3分の1が死亡し、3分の1がてんかんや知能低下などの重篤な後遺症を残していました。インフルエンザウイルスに対してはアマンタジンやリレンザが使われ、効果を上げています。

いっぽうで日本脳炎、流行性耳下腺炎、風疹などのRNAウイルスに効果のある薬剤はなく、いまだに死亡例や後遺症例が多くみられます。これらのウイルスに対してはワクチンの接種で予防することがもっとも効果的です。

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