頭部外傷(とうぶがいしょう)
脳外傷による高次脳機能障害
近年、交通外傷(交通事故による外傷)から回復した後、様々な障害が起こっていることに気付くことが多くなっています。この様な障害があることが広く知られるようになり、自動車保険の損害保険に改めて請求することが可能になっています。
高次脳機能障害による症状(特徴)
- 物忘れが目立つ
- 新しいことを学習できない
- 短気で怒りっぽくなった
- 飽き易い
- 妙にこだわる
- 異常にしつこい
- 感情の起伏が激しい
- 気分がころころと変わる
- 集中力の低下
- 発想が幼児的で自己中心的
- おしゃべりで話の内容がすぐに変わる
- 話が回りくどくて要点をつかめない
- 計画的な行動が出来ない
- 行動が緩慢
- 手の動きが不器用
- 同時に二つのことができない
- 自分では何もやろうとしない(行動を起こさない)
- 暴力行為がある
- 行動に抑制がきかない
- おしゃれをすべきところでおしゃれをしない
- 寝つきが悪くすぐに目覚める
- 友人ができない(作ろうとしない)
- 性的な行動が目立つ
- 人ごみの中にでかけることを嫌う
診断はCT、あるいはMRIで行い、第3脳室が拡張していることで診断できます。治療は精神科、あるいはリハビリ科で根気良く行うことが大切です。
脊髄外傷(せきずいがいしょう)
原因
頭部外傷の場合と同様ですが、場所が脊髄である点を注意してください。
症状
脊髄外傷でも、腫瘍の場合と同様に、その障害の部位(高さ)、大きさなどによって重症度や症状はさまざまです。原因についても頭部外傷と同様多種であり、脊椎・髄膜・脊髄自体といった部位差や、開放性損傷、骨折、出血など性質の差も、症状・経過に関係してきます。
脊椎の骨折やずれが起きた場合はその部分に激痛が起こります。しかし実際にはX線撮影による初見が決め手になります。脊髄自体に損傷が起これば、その高さ以下のまひ、感覚の障害、排尿排便障害などが起こります。
診断
脊髄外傷も脳の場合と同様に、外傷時のようす、症状・経過が重要です。X線単純撮影、脊髄腔造影撮影(ミエログラフィー)、CT、MRI、筋電図検査も状況により併用されます。
治療
外傷を受けた場所から病院などへ移送するときは、損傷部および脊椎全体を動かさないように、頭とからだとを1本の棒のようにして平面上のもの(板やたんか)に乗せ、静かに運ぶことが大切です。その際、呼吸障害やショック治療など、人工呼吸や医師による治療が必要となることがあります。
自然の経過で回復をまつ間に、脊髄が浮腫を起こしたり、出血して血腫ができたりして脊髄が圧迫された場合には、腫瘍の手術と同様に、後方から脊椎の一部(椎弓)を切除して圧を下げる必要があります。
これは後遺症を残すことが多く、その場合はいわゆる“脊損”(脊髄損傷)のリハビリテーションを、根気よく続けることが大切です。