片頭痛の予防と治療法について

典型的な片頭痛は、右あるいは左の視野に揺れる水面のような光が見え始め、だんだんと面積を広げていきます。本を読むとこの光ったところでは活字が見えないことに気づきます。

ただし、けっして中心を越えて反対側まで広がることはありません。20分もするとこの光る模様は消え始め、それとともにいままで見えていたのと反対の頭の横からズキンズキンと頭痛が始まります。

しばしば吐き気があり、実際にひどく吐くこともまれではありません。時には音や光がひどく神経にさわって耐え難く感じることもあります。

しかし、しばしば片頭痛は誤解されています。片側だけに起こる頭痛、ズキンズキンとする頭痛、強い頭痛だからといって片頭痛とは限りません。片頭痛は頭痛に先立って起こる前駆症状(水面のような光など)があり、片側だけにズキンズキンという頭痛を感じ、しばしば吐き気を伴うものです。

さらに、発作の前日には尿量が減り、約500g体重がふえます。このとき顔のむくみに気づく人もいるほどです。発作が終わるとふたたび尿量がふえ、もとの体重に戻ります。

その理由は次のように考えられています。

まず、脳の後頭葉にある動脈が突然収縮を始め、血行障害が起こります。このときいろいろな視覚異常がみられます。20分もすると収縮した血管がもとに戻り始めるのですが、このときに血管のまわりにむくみが起こります。このむくみのために、ズキンズキンという頭痛と、吐き気が生じます。

私たちの右側の視野にあるものは目のレンズ(水晶体)を通ると網膜の左側に像を結びます。網膜の左側に入った情報は脳の左に集まり、左側の後頭葉で分析がおこなわれ、視覚として感知されます。

つまり、左側の後頭葉に血管の異常な収縮が始まると、あたかも視野の右側に異常な光があるかのように感じることになります。片頭痛は頻度の多い病気で、人口の約5%にみられます。多くは両親のいずれかから遺伝します。

偏頭痛の予防

片頭痛はしばしば環境の変化、精神的なストレス、特別な食事、あるいは睡眠によって発作が起こります。誘因のなかで多いものはアルコール、生理、ストレス、食事です。

光と音

患者はギラギラした光や、白と黒の市松模様を見ることを好みません。明るい光を見つめることで目に残像が残り、それから発作が誘発されることもあります。夏にはサングラスを使用しましょう。

食事

チョコレート、強いにおいのチーズ、化学調味料で誘発されることがあります。

アルコール

約3割の患者でアルコールが発作を誘発します。特に赤ワインが要注意。

生理

月経の周期によって生じる片頭痛が多くあります。また、閉経後にも同じような周期で片頭痛が続くこともあります。妊娠中は発作の回数が少なくなることも多いのですが、そのいっぽうで妊娠初期に頭痛が一時的に頻発することもあります。

睡眠

睡眠不足で起こることもあれば、睡眠のとりすぎで誘発されることもあります。

ストレス

精神的な興奮あるいはストレスが直接発作を誘発することがあります。

偏頭痛の治療

片頭痛の治療には、発作を途中でとめる治療と、予防する治療があります。

発作を途中でとめる治療としては、カフェルゴットやスマトリプタンという薬を使います。これは血管を収縮させる作用があり、発作の最後に血管が再拡張して頭痛を起こすことを防ぎます。

この薬は連日使うことは避けないといけません。血中濃度が過剰になると、薬剤によって誘発される頭痛が起こるからです。この頭痛は本来の片頭痛よりも激痛であることが多く、注意が必要になります。

また、血管を収縮させるので、狭心症、心筋梗塞、高血圧症、高脂血症、糖尿病あるいは胃潰瘍などの患者が使うときは気をつけましょう。

カフェルゴットのほか、発作時にアスピリンを服用すると効果的です。

片頭痛の発作が頻発するときや、頭痛が激烈な場合には、頭痛を予防する治療が必要となります。このためにはミグシスやインデラルといった薬が有効です。この片頭痛には市販の頭痛薬は効果がありません。

自分が片頭痛と正しく認識している患者は少ないものです。また自分で頭痛もちだと悩まずに、なかなか治らない頭痛の場合には神経内科にかかることが大切です。

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