神経内科・脳神経外科・精神科・診療内科の違い

頭部に関する疾患を治療する際、実際にどの科にかかったら良いのか迷うことがあります。

神経に関する科には、「神経内科」や「脳神経外科」、「精神科」に「神経科」、「診療内科」と紛らわしい名前がたくさんあります。これらはいったい、どの様な違いがあるのでしょうか?

神経内科

神経内科は脳や脊髄(せきずい)、神経系、筋肉の病気を扱っています。肉眼、あるいは顕微鏡で見て異常が認められる病気が対象となり、これを「器質的疾患(形の異常がある病気)」と言います。

時には癲癇(てんかん)のように、肉眼で見ても異常が無い病気も扱いますが、これは脳波検査であきらかな異常が認められ、脳を顕微鏡で調べることでかなりの頻度で異常が見つかります。

脳神経外科

脳神経外科は神経疾患のうちで、手術で改善する疾患を取り扱っています。主なものとしては以下の通りです。

  • 外傷性疾患(急性くも膜下出血や急性硬膜化出血、脳挫傷、慢性硬膜化血腫等)
  • 腫瘍(原発性脳腫瘍や転移性脳腫瘍、脊髄腫瘍等)
  • 頭蓋内圧亢進(こうしん)
  • くも膜下出血(動脈瘤のクリッピングや血管内手術を行う場合

診療内科

診療内科は神経内科と紛らわしい名称になっていますが、まったく違う科となっています。主に「心の病」が体に病気を生じさせることがあり、これらの症例を取り扱う科が診療内科です。

診療内科の対象疾患は、必ず体に内科的疾患があるといわれており、その内科的疾患の原因が心にあるものを「心身症」と呼びます。主な疾患は以下の通りです。

  • 消化器疾患(胃潰瘍、十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、神経性下痢、糖尿病等)
  • 循環器疾患(狭心症、高血圧等)
  • 呼吸器疾患(気管支喘息、過呼吸症候群等)
  • 皮膚疾患(円形脱毛症等)
  • 泌尿器疾患(過敏性膀胱等)

神経科

神経科は、現在の日本では殆ど精神科と同義となるのですが、本来は神経内科のことを言います。英語では「neurology」です。精神科は精神症状を分析し、治療する科です。主な疾患には以下のようなものがあります。

  • 統合失調症
  • うつ病
  • 神経症

基本的に脳の気質的疾患は扱いませんが、脳挫傷後の精神症状や癲癇(てんかん)の精神症状等は、精神科の領域となります。

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