大腸がんの初期症状と生存率・検査方法

大腸がんは早期発見が難しい疾患とされており、その理由として初期症状が少ないという事が挙げられます。血便といった症状が現れた際には、すでに進行した状態となっていることが多いのです。

しかし、大腸がんは多少進行していたとしても、手術によって完治する可能性が高いという特徴もあります。術後の5年生存率も、他のガンと比較しても高いと言えます。

転移によるガンの再発に関しては、大腸がんは5年以内に起こる可能性が高いと言われており、治療後5年が経過しても再発がなければ、ほぼ完治したと考えられます。

大腸がんの初期症状

大腸がんには、自覚できる初期症状が少ないと言われています。そして、健康診断や定期健診で行なう「便潜血検査」を行なった際に始めて癌が発見される場合が多く、便に血液が混ざるような状態では、すでに癌が進行している可能性が高いとされています。

  • 腹痛
  • 残便感
  • 便通の異常
  • 便秘を繰り返す
  • 下痢を繰り返す
  • 貧血など

これらは「進行した大腸がん」の自覚症状として見られるものですが、普段の生活の中でも経験する症状が多いことから、大腸がんによる症状であっても見過ごしてしまう場合が多いのです。

大腸がんになる原因

大腸がんになる原因として、医学的に解明された決定的な要因は見つかっておらず、現在も研究が進められています。しかし、下記に挙げるような項目が危険因子ではないかと考えられており、とりわけ食生活の面で、大きな影響を受けると考えられています。

  • 動物性脂肪・動物性タンパク質の摂取量が多い(肉食中心の食生活)
  • 食物繊維の不足
  • 運動不足
  • 肥満
  • 遺伝的素因など

大腸がんの生存率(5年生存率)

大腸がんの生存率はその他の癌の生存率と同様に、患者の進行度を示す病期(ステージ)や各医療機関での治療成績によって異なってきます。

以下の表は、がん専門の国公立病院など30施設が加盟する全国がん(成人病)センター協議会が公表している、1997年~2000年における初回入院治療症例の5年相対生存率です。

結腸がんの生存率(5年生存率)

病期 5年生存率
1期 98.1%
2期 94.0%
3期 77.4%
4期 20.1%

※全国がん(成人病)センター協議会の公表データから参照

直腸がんの生存率(5年生存率)

病期 5年生存率
1期 96.9%
2期 86.4%
3期 71.7%
4期 16.3%

※全国がん(成人病)センター協議会の公表データから参照

大腸がんの検査方法

大腸がんの検査方法として一般的なのは、注腸造影検査(注腸X線検査)や大腸内視鏡検査です。そして、これらの検査を行なう前に一次検査として「便潜血検査」や「腫瘍マーカー検査」で大腸がんの可能性があるかどうかを判別します。

そして、大腸がんと診断された場合は、他の臓器への転移の有無や治療方針の決定のために、CT検査、MRI検査、超音波検査といった画像検査を同時に行ないます。これらの検査によって、その他の部位に転移した小さな癌も発見することが可能となっています。さらに、これら全ての検査を一度に行なうことができる「PET検査」という検査方法も、近年注目を浴びています。

便潜血検査(べんせんけつけんさ)

大腸がんや大腸ポリープなどが原因となっている出血の有無を見つけるために実施される検査で、痔による出血でも陽性反応が出てしまいます。また、早期の大腸がんでは出血が見られない場合も多く、癌を確実に発見するには決め手に欠ける検査なので、確実に早期ガンを発見するには、「大腸内視鏡検査」をはじめとした精密検査を受ける必要があります。

この検査のメリットとしては、検査費用や検査を受ける患者の肉体的な負担の少なさにあり、定期的に検査を受けることも可能です。また、この検査の実施によって大腸がんの死亡率が減少しているという統計もありますので、できれば実施しておきたい検査項目といえます。

腫瘍マーカー検査

がん細胞が体内に存在していると、腫瘍マーカーに反応する物質の量が増えるため、その値を確認してガンの有無を判定する検査方法が腫瘍マーカー検査です。

大腸がんでは「CEA」と「CA19-9」と呼ばれる腫瘍マーカーが利用され、便潜血検査と同じように、比較的簡単に実施できる検査の一つとなります。また、大腸がん以外の他のガンを発見することもできるため、ガン検診の検査方法として広く実施されています。

留意点としては、腫瘍マーカーはガン以外のその他の病気でも増加することもあり、早期がんである場合、腫瘍マーカーの値が反応しないことも多く、この検査のみではガンの発見に至らない場合もあります。あくまで診断の補助的な役割を担っている検査ともいえるでしょう。

大腸がんの患者数と死亡数

「患者調査」と呼ばれる、厚生労働省が3年後とに実施している調査があります。その調査によると、大腸がんの総患者数は21万4,000人(平成17年の調査で数値は推定)となっています。そして、「人口動態統計の概況(厚生労働省より発表)」によれば、平成17年度の1年間での大腸がんによる死亡者数は、4万830人とされています。

内訳は、結腸がんによる死亡者数が27,121人、直腸がんによる死亡数が13,709人となっており、結腸癌による死亡者数の方が多いという統計結果が出ています。

ちなみに、悪性新生物(悪性腫瘍)を原因とする死亡数の中で、大腸がんは「肺がん」「胃がん」に次いで3位となっています。

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