脳梗塞の初期症状と兆候・原因

ろれつが回らず、言語障害が出たり、体の片方だけが麻痺して、手足の力が入らないといった症状が突然現れた場合、これらの症状は脳梗塞の初期症状である可能性があります。そして、暫くして症状が治まったとしても、必ず専門の医療機関で受診するようにしてください。

脳梗塞は一旦症状が治まったとしても、再発する危険性が十分にある、怖い疾患です。また、脳梗塞の前兆として一時的に起こる「一過性脳虚血発作」を発症した人の場合であれば、数年以内に脳梗塞となる危険性が非常に高いと考えられています。

脳梗塞の初期症状

先ほども書きましたが、脳梗塞の初期症状として代表的な症状として、「体の片方だけにおこる感覚の以上」や、「言語障害」などが挙げられます。また、体の左右どちらかにだけ異常が現れるといった特徴があります。

  • 片方の手や足のみ感覚が鈍り、力が入らない
  • 顔の左右半分の感覚が鈍くなり、顔がゆがむ
  • 口が閉じられずに、片側からヨダレが出る
  • 突然ろれつが回らなくなる
  • めまいがしたり、立ちくらみを起こす

これらの症状は、脳梗塞の初期症状として典型的な例です。過去にこういった症状が現れたという方は、すぐに専門の医療機関で診断を受けることをお勧めします。

一過性脳虚血発作とは?

冒頭でも少し触れましたが、一過性脳虚血発作(TIA)は脳梗塞の兆候を示す発作のことで、症状には個人差がありますが、比較的軽度で済む場合が多く、数時間で元の感覚に戻ります。そういった特徴もあり、始めてこの発作に遭遇した人は、それほど深刻に症状を捉えることも無く、脳梗塞の兆候であるこの発作を見過ごしてしまう方も多いと言われています。

この発作は、血栓等が脳の動脈の中で詰まってしまい、血液の流れ(血流)が一時的に悪くなってしまうことで引き起こされます。脳梗塞と同様の症状が見られるのですが、数分~数時間程で収まります。しかし、一過性脳虚血発作は再発するケースが非常に多く、一度でも発症してしまえば、数年以内に脳梗塞を引き起こす危険性が高いという統計があります。

脳梗塞の原因

脳梗塞は、日本の「三大疾病」と呼ばれる「脳卒中」の中の一つであり、発症した場合、予後が悪くなる疾患としても知られています。脳の中の血管(脳動脈)に血栓と呼ばれる血の固まりが詰まることで血液の流れが悪くなり、酸素や栄養素が供給されなくなることで生じます。

  • 動脈硬化
  • 心臓病
  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 高脂血症
  • 喫煙
  • ストレス過多
  • 肥満
  • 加齢

これらは、脳梗塞の発生原因として考えられる主な要因です。脳梗塞を発症させる直接の原因としては「動脈硬化」や「心臓病」が挙げられるのですが、この動脈硬化を引き起こす危険因子として、高血圧や糖尿病、喫煙やストレスの過多等があり、生活習慣に起因するものが殆どです。

脳梗塞の種類

脳梗塞には、大きくわけて以下の種類があり、脳血栓症には「ラクナ梗塞」と「アテローム血栓性梗塞」が、脳塞栓症の中では「心原性脳塞栓症」が多い言われています。

  • 脳血栓症
    • ラクナ梗塞
    • アテローム血栓性梗塞
  • 脳塞栓症
    • 心原性脳塞栓症

ラクナ梗塞

老化・高血圧をはじめとするリスク要因によって動脈硬化が進行することで、脳の深部にある細い血管が閉塞することで発症します。ラクナ梗塞は一番多いタイプの脳梗塞であり、近年、高齢者の間で増加傾向にあります。

症状としては比較的軽症で済む場合が多く、後々に大きな後遺症を残すことも少ないのですが、再発を繰り返して「血管性痴呆」や「パーキンソン症候群」を発症する可能性もあります。

アテローム血栓性梗塞

もともとは欧米人に多いタイプの脳梗塞で、近年では食の欧米化によって日本人の間でも増加傾向にあります。血管が狭くなったり血栓ができて詰まるために起こるタイプの脳梗塞です。

頚動脈や脳内の太い血管の内部に脂肪等が沈着し、アテローム硬化(粥状硬化)を引き起こし、これが原因となり血管を詰まらせます。

心原性脳塞栓症

心原性脳塞栓症は脳塞栓症として最も多いタイプの脳梗塞で、突然発症するケースが多く、病巣の範囲が広い上に、他の脳梗塞よりも症状が重くなってしまうという特徴があります。

脳塞栓症は脳以外の場所に出来た血栓が、血流に乗って脳の血管を詰まらせることで発症するタイプの脳梗塞なのですが、この心原性脳塞栓症は、不整脈等が原因として生じた「心内血栓」が、心臓から血管を通り、脳の血管を塞ぐことで引き起こされます。

脳梗塞の予防

脳梗塞の原因は普段の生活習慣に拠る所が大きく、生活習慣病に対する管理は必要不可欠となっています。特に、先にも説明したように、高血圧や糖尿病、高脂血症といった生活習慣病の多くは、脳梗塞をはじめとした脳卒中を発生させる要因として間違いないといわれているのです。

もちろん、飲酒や喫煙も脳梗塞の発生リスクを高める危険因子です。暴飲暴食や運動不足といったことも関係していますので、普段の生活の中で気をつけていくべき項目として、しっかりと覚えておいてください。

逆に言えば、普段から運動を心がけ、塩分を控えた食事を腹八分目で抑えるといった普段の生活の改善を行なうだけでも、脳梗塞の発生リスクを下げることが可能なのです。

また、大きなストレスや過度の疲労にも気をつけておきたいところです。仕事が忙しくとも、自分の時間をしっかりと作り、休日にはウォーキングといった軽い運動で汗を流し、気分転換を図ることも、脳梗塞の発生リスクを下げることに繋がるのです。

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