脂肪肝の治療には、「アルコール性脂肪肝」と「非アルコール性脂肪肝」のそれぞれで適切な治療が行なわれることになります。アルコール性脂肪肝であれば、何をおいても「禁酒」が必要となりますし、非アルコール性脂肪肝であれば、食事療養・運動療法を中心とした治療が行なわれます。
脂肪肝は、肝臓に中性脂肪が溜まっていく状態なのですが、自覚症状が少ないという特徴もあり、症状が出始めた頃には肝炎や肝硬変といった重たい病状となっていることも少なくありません。
脂肪肝の改善と治療について
脂肪肝を改善する為には、まずはその原因をしっかりと把握し、要因に応じた適切な治療を行なうことが重要となります。
治療法としては、原因に対する薬物療法が行われるケースもありますが、基本は「食事療法」と「運動療法」による、肥満や糖尿病の改善を目指します。そして、摂取するアルコールの量も制限するといった生活習慣の改善を行っていきます。
脂肪肝になる原因
脂肪肝になる原因で代表的なものとして、以下の3つが挙げられます。
- 肥満
- アルコールの過剰摂取
- 糖尿病
これら3つの原因を誘発する大きな要因としては、偏った食生活や慢性的な運動不足等に代表される、生活習慣の乱れがあります。このような生活習慣を続けることで、中性脂肪が肝臓で蓄積され、脂肪肝となってしまうのです。
他の要因としては、過度なダイエットやリバウンドを繰り返す過程で、肝臓から脂肪が代謝される際に必要となるたんぱく質が不足することで、中性脂肪が排出されずに溜まり出すというケースもあります。
脂肪肝の食事療法について
脂肪肝の種類の中でも飲酒を原因としない「非アルコール性脂肪肝」の場合、食事療法によって摂取するエネルギーの制限が必要になるので、まずは食べ過ぎに気をつけ、栄養バランスのとれた食事を心掛けつつ、標準体重を目標とします。
脂肪肝の食事療法では、低脂肪で高タンパク質、ビタミンや食物繊維を豊富に含む野菜や果物をバランスよく摂取し、脂肪分と糖質を多く含んでいる食べ物などは極力控えるようなメニューが推奨されています。
低脂肪・高タンパク質な食べ物・食材
低脂肪でなおかつ高タンパク質な食べ物・食材として、いくつかの例を紹介します。
- 豆腐(大豆製品)
- 鶏ささみ(脂肪の少ない肉)
- 白身魚
- 貝類
- 卵白等
アルコール性脂肪肝とは?
「アルコール性脂肪肝」の場合、アルコール類を控えることは必須であり、比較的軽症である場合を除けばとにもかくにも禁酒することが必要となります。そして、アルコール性肝炎の疑いがある場合にはアルコール類は原則禁止となります。
もし、脂肪肝の状態から飲酒のペースを変えなければどうなるか?多くの場合、「肝炎」や「肝線維症」、「肝硬変」へと病状は悪化してしまい、治療にもそれだけ時間がかかってしまうことになります。
しかし、アルコール性肝障害の中でも比較的軽度と言われる脂肪肝のうちに禁酒を行ない、生活習慣を見直すことで、短い期間で肝機能の改善を図ることも可能となります。
アルコール性脂肪肝では、「禁酒」をどれだけ早い段階で行なうことができるかが重要なのです。
アルコール性脂肪肝の予防と対策
アルコール性脂肪肝の予防対策としては、やはり酒類の飲みすぎに気をつけることでしょう。日本酒の場合であれば、毎日3合以上を摂取する生活を5年以上続けていると、アルコール性脂肪肝となる可能性が非常に高まると言われています。
日本酒1合のアルコール含有量に相当するのは、ビール大瓶1本、ウイスキーのダブル1杯、25度の焼酎で0.6合、ワインでグラス1杯半となっています。アルコールの摂取の際に、1日に飲む目安として参考にしてみてください。
肝臓に効く食品やサプリメント
肝臓の機能を高めたり改善するのに効果的な栄養成分としては、ウコンに含まれるクルクミンや、牡蛎に豊富に含まれているタウリンなどが有名です。また、これらの成分を配合したサプリメントも市販されています。
ウコン
肝機能を強化するクルクミンをはじめ、解毒作用を高める成分がいろいろと含まれているので、肝臓の疲労を緩和するといった効能が期待できます。
牡蠣
牡蛎には肝細胞の再生を促進したり、胆汁の分泌を促進して肝臓の働きを助けるタウリンの他、肝臓の代謝機能に重要な役割りをしている亜鉛を豊富に含んでいます。