カルシウムを多く含む食品と摂取量・吸収率について

この記事では、カルシウムを多く含む食品(食べ物)と摂取量、吸収率、カルシウム不足の原因について解説していきます。

まず、カルシウムの1日辺りの摂取量について説明していきます。カルシウムの摂取量は男女で若干の違いがあるのですが、基本的に不足しがちな栄養素であり、普段の生活の中で意識して摂取することを心掛けなければ、必要量を満たすことが難しい栄養素でもあります。

さらに、体内におけるカルシウムの吸収率は、その食品に含まれている量や、その食品に含まれている他の栄養素の影響を受けてしまうので、しっかりとカルシウムが多く含まれている食品を摂取しているつもりでも、あまり体内に吸収されていないとういことも少なくありません。

カルシウムが不足してしまうと、骨粗しょう症や他の健康障害をはじめ、歯や骨の形成、他の生理作用に深く関わっている重要な栄養素なので、しっかりと摂取することが大切なのです。

カルシウムの1日辺りの摂取量

カルシウムの1日の摂取量は男女で違いがあり、成人男性で約650mg~900mg、成人女性で約600mg~700mgが推奨値とされているのですが、実際には殆どの年齢層でカルシウムは不足しているといわれており、しっかりと意識して摂取する必要がある栄養素であるといえます。

1日当たりのカルシウムの摂取目安量と摂取上限量

厚生労働省が公表している日本人の食事摂取基準(2005年版)では、18歳以上の1日当たりのカルシウムの摂取目安量と摂取上限量を下記のように設定しています。

年齢 摂取目安量(mg/日) 摂取上限量(mg/日)
18~29歳 男性900 女性700 男性2300 女性2300
30~49歳 男性650 女性600 男性2300 女性2300
50~69歳 男性700 女性700 男性2300 女性2300
70歳以上 男性750 女性650 男性2300 女性2300

妊娠中のカルシウム摂取

妊娠中や授乳期はお腹の中に居る赤ちゃんが成長するために母体のカルシウムを吸収し、さらに赤ちゃんへの授乳の際に、母乳からカルシウムが消費されるために、特にカルシウムが不足するといわれていますので、普段よりも意識してカルシウムの摂取を行なう必要があります。

尚、厚生労働省が発表している「食事からの栄養摂取基準」において、以前ではカルシウムの摂取目安量を妊娠中はプラス300mg、授乳中はプラス500mgを付加量として増加することを推奨していましたが、現在では妊娠中毒症などの症状がない場合であれば、妊婦、授乳婦の付加量は必要無いと改訂されています。

必要無しと改訂された理由としては、現在では以下の用に考えられるようになったためです。

  • 妊娠中にはカルシウムの吸収率が高まる。
  • 授乳期間が終了した後の半年ほどで、母体のカルシウム量はほぼ妊娠前の状態に回復する。

ただし、この考えはあくまでも「摂取目安量を満たしている女性」に限ってのことです。明らかにカルシウム不足であると考えられる場合であれば、積極的なカルシウム摂取は必要となります。

カルシウムを多く含む食品(食材)

カルシウムが多く含まれている食品としては、乳製品や小魚といったものが挙げられますが、それ以外にも以下で紹介している食品群にも、比較的多くのカルシウムが含まれています。

  • 乳製品:牛乳・ヨーグルト・チーズ・スキムミルク
  • 魚介類:丸干しイワシ・煮干し・ちりめんじゃこ・桜えび
  • 大豆製品:木綿豆腐・高野豆腐・油揚げ・納豆
  • 野菜類:小松菜・おかひじき・切干大根・大根の葉・ケール
  • 海藻類:ひじき・わかめ・こんぶ・あおのり

これらの食品を、毎日の食事メニューにバランスよく加えることで、カルシウム不足の解消に繋がることでしょう。

カルシウムとリンのバランス

リンという栄養素はカルシウムやマグネシウムと一緒で骨や歯をつくる重要なミネラルであり、生命維持活動にとっても欠かせない栄養素です。しかし、リンが過剰になってしまうと、カルシウムの吸収を悪化させてしまいます。

リンは魚類や、乳製品、大豆、肉類といった一般的な食品に広く含まれている成分なのですが、特に加工食品やインスタント食品の食品添加物としても多く使用されています。普段の食生活の中で、インスタント食品や加工食品といった食品添加物を多く含んだ食品を多く摂る食生活が習慣化している場合は、カルシウム不足を解消するためにも改善する必要があるといえます。

カルシウムの吸収率について

カルシウムはその食品に含まれている量全てが吸収されるわけではありません。カルシウムの吸収率の良さは、食品そのものによっての違いや、その他の栄養素による影響、年齢・健康状態・服薬の有無など、複数の要素によっても吸収のされ具合が異なってきます。

食品の中でも特にカルシウムの吸収率が高いと言われている牛乳であっても、全体のおよそ4割程度しか身体に吸収されないといった試験結果が発表されており、数ある栄養素の中でも特に吸収され難い栄養素であるといえるのです。

カルシウムの吸収率を促進する栄養成分

カルシウムと相性の良い栄養素もいくつか確認されています。以下では、それらの代表的な栄養素をいくつか紹介しておきますので、毎日の献立を決める際の参考にしてみてください。

ビタミンD

ビタミンDは体内でのカルシウムの吸収を促進する働きがあり、干しシイタケやきくらげ、ウナギ、鶏卵などに多く含まれています。

乳糖

乳糖にもカルシウムの吸収を促進する作用があるといわれており、牛乳やヨーグルト等の乳製品に豊富に含まれています。牛乳のカルシウム吸収効率が良い(全体の約4割)理由として、この乳糖が含まれていることも一因です。

カゼイン・ホスホ・ペプチド(CPP)

CPP(カゼイン・ホスホ・ペプチド)は、小腸でカルシウムの吸収を促進する作用があります。この成分は特に牛乳に多く含まれており、カルシウムの吸収率を高める成分として注目を浴びていることから、最近は様々な食品に配合されています。

カルシウムが不足する原因とは?

カルシウムが不足してしまう原因として最も大きいのが、現代の食生活の変化と言われています。現在は、魚や乳製品といったカルシウムを豊富に含んでいる食品よりも、炭水化物や脂肪分の多い食べ物がメインの食生活を送るようになっており、意識しなければカルシウムが不足してしまいます。

また、オゾン層の破壊による影響や「美容思考」によって日光にあまり当らなくなった現代人の体質にも、カルシウム不足となる要因が潜んでいます。

カルシウムの吸収を助けるビタミンDは、食物からだけでなく、日光を浴びることによって体内でも生成されるのですが、上記の理由によって日光にあまり当らなくなった現在の習慣が、そのままカルシウム不足に直結してしまうというわけです。

さらに、過剰なストレスもカルシウムを減少させ、体内への吸収を阻害すると考えられており、特に「ストレス社会」とも言われている現代においては、ストレスによってカルシウムが不足してしまう日常を知らず知らずのうちに送ってしまう現状があるのです。

普段の食事からカルシウムをしっかりと摂取することも重要なのですが、適度に太陽の光を浴びて、なるべくストレスを溜め込まないような日常生活を送ることも大切なのです。

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