腹部膨満感の原因と解消法

腹部膨満感の原因として一般的に良く見られるものとしては、主に腸管内に「ガス」が過剰に溜まることが原因で、腹部の膨満感を感じることが多いようです。

しかし、腸閉塞や腹水、女性の場合であれば子宮・卵巣関連の疾患といった、重たい病気に起因するものもありますので、甘く見てはいけません。

また、胃の運動機能(蠕動運動)が低下して食べ物が胃の中で停滞することが原因となって、胃の辺りがつかえて張ったように感じることがあります。これは「胃部膨満感」と呼ばれることもあります。

ガスによる腹部の膨満感

腹部の膨満感の原因として最も多いのが「ガス」によるものです。お腹の中にガスが発生して、そのガスが胃・腸管内部に充満し、お腹のハリや腹部膨満感といった自覚症状が現れます。

しかし、なぜお腹の中にガスが溜まってしまうのでしょうか?理由としては、食べ物を摂取する際に、一緒に飲み込んでしまった場合や、ガスを発生させやすい「炭酸飲料」の飲み過ぎといった直接の原因の他、腸内細菌の作用によってガスが発生することが主な原因と考えられています。

健康な人でも、一定量のガスはお腹の中に溜まっているのですが、上記で挙げた直接的な要因の他、体外へ排出されるガスの量が少ない場合にも、腹部膨満感を起こしてしまいます。

溜まったガスはどの様に排出されているのか?

なんとなく想像が付くかもしれませんが、体内に溜まったガスは、「ゲップ」や「おなら」として定期的に体外に排出されています。また、これはあまり知られていないのですが、ガスの多くは血液中に吸収され、二酸化炭素となって呼吸と共に体外に排出されているのです。

少し汚い話となりますが、ゲップやおならを出すと、なんとなく体がすっきりした感じになると思います。これは、体内に溜まっていたガスが外に排出されたためで、それによってお腹の張りも緩和されたためです。

ゲップもおならも、人目もはばからず堂々と行なえるものではないのですが、どちらも人間の生理的な行動であり、本来は我慢してはいけないものなのです。

しかしながら、普段からゲップやおならの回数が多い人もおり、そういった方達は、体質的にも体内のガスを溜め込みやすい体質であったり、生活習慣を送っているということにもなります。不摂生な生活をしていると、おならの回数が増えるとも言われていますね。

呑気症による腹部膨満感

呑気症(どんきしょう)とは、腹部膨満感を引き起こす原因の一つで、空気嚥下症(くうきえんげしょう)とも呼ばれています。これは、唾液を飲み込む際に、一緒に空気をたくさん飲み込んでしまう病気で、他の人よりも頻繁にゲップやおならが出たり、腹部の膨満感を感じやすくなるといった症状が出ます。

呑気症を治療せずに放置したままにして症状が進行してしまうと、心臓を圧迫することにも繋がり、息苦しさを引き起こす原因となってしまいますので、注意が必要です。

この病気は、なり易い人とそうでない人がおり、「緊張しやすい人・ストレスを溜め込みやすい人・うつ状態の人」はなりやすいタイプと言われています。また、呑気症になる原因としては、食事をしていない時でも無意識のうちに歯(奥歯)を噛み締める習慣があり、その状態で唾液を飲み込むと、反射的に空気も一緒に飲み込むようになることにあると考えられています。

腹部膨満感の治療と解消方法

腹部膨満感の治療・解消法として、その原因が何らかの病気を起因としている場合は、原因となっている病気を専門の病院で治療する必要性がありますし、ある程度長い期間にわたって腹部膨満感が継続している場合や、その他の症状を併発している場合では、放置せずに消化器内科でしっかりと診察してもらうようにします。

一般的に生じる腹部膨満感は、お腹の中にガスが溜まり過ぎることで生じているケースが多いので、腹部膨満感の予防対策ならびに解消法としては、ガスを溜め込まない生活習慣を心掛けることが大切な要素となってきます。

具体的な生活習慣には下記のような項目が挙げられます。該当する部分があった方は、その部分を改善するように努めましょう。

早食い、食べ過ぎに注意する

胃腸に負担がかかるので消化不良を起こしやすく、結果的にガスが溜まりやすくなりますので、食べ物をしっかりと噛み締め、食事に時間をかける等して、食べ過ぎる前に満腹感を感じるような工夫が必要です。

便秘を改善・解消する

特に女性が感じる腹部膨満感の場合、便秘が原因になっているパターンが多いようです。便秘は腸内細菌のバランスを悪化させ、悪玉菌が増える要因となってしまいます。悪玉菌が活発になると、有毒なガスを発生してしまいます。

炭酸飲料やビールを飲み過ぎない

炭酸はガスそのものなので、炭酸性の飲料を飲み過ぎると、腹部にガスが溜まりやすくなります。

ガムの噛み過ぎには注意する

一見すると関係が無い様にも思えますが、ガムを頻繁に噛む習慣のある人は、それだけ口から空気を飲み込む量も増えてしまいます。度を越さなければ問題は無いのですが、呑気症を発症している人であれば、特に空気を飲み込みやい状態になっていますので、注意が必要となってきます。

オナラやゲップを我慢しない

周りに誰も居ないのであれば、我慢せずに素直に排出するようにしましょう。日本人は綺麗好きで、人前だけでなく、日常的にゲップやオナラを我慢している人も少なくありません。

イモ類、豆類、乳製品の食べ過ぎに注意する

これらの食品に共通するのは、食物繊維が豊富に含まれていたり、発酵系の食品であるという点です。これらの成分を取りすぎると、腸内細菌が活発になり、ガスを発生させやすくなってしまいます。

便秘の解消に食物繊維が良いという話もありますが、何事も”ほどほど”が一番というわけです。

ストレスを溜め込まない

ストレスは万病の元と言われますが、ストレスは消化管の機能を低下させ、それが要因となって「呑気症」発生の原因となってしまいます。

薬による腹部膨満感の解消法

各医薬品メーカーから販売されている、腹部膨満感を解消する市販薬を利用するのも良いでしょう。これらの薬は、「整腸作用」や「消泡作用」のある成分を有効成分としており、腸内細菌のバランスを整え、ガスの発生を抑えたり、ガスを除去する作用があります。

他にも、漢方薬で膨満感を解消する効果を持っているものもあり、株式会社ツムラから販売されている桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)と呼ばれる漢方薬が有名です。この漢方は、お腹の張りをはじめとして、腹痛やしぶり腹、便秘にも優れた改善効果を発揮してくれることから、先ほど紹介した市販の膨満感解消薬にも配合されています。

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