尿検査による潜血反応では、尿に血液(赤血球)が混ざっているかどうかを診断します。見た目では正常に見える尿でも、少しでも血液が混ざっていれば「陽性反応」を示します。
そして、尿検査で潜血反応が出た場合、慢性腎炎や腎結石等の腎臓病や、尿道炎、膀胱炎、尿道結石といった泌尿器系の病気が疑われることとなります。
もちろん、尿潜血全てがこれらの病気に関係しているとは限りません。例えば、女性であれば生理の前後に尿検査をした場合に潜血反応が出る場合もありますし、他の病気を原因とするものである可能性もありますので、尿に血が混ざった場合は、精密な検査を行なう必要があります。
尿潜血の原因となる病気の例
尿検査の潜血反応で「陽性」と診断された場合に疑われる具体的な病気の例を以下に示します。
- 腎炎
- 尿道炎
- 膀胱炎
- 前立腺炎
- 腎結石
- 尿管結石
- 膀胱結石
- 腎臓がん
- 前立腺がん
- 尿管腫瘍など
前述しましたが、尿潜血があったからといって、必ずしも上記の病気が原因というわけではありません。女性であれば生理前後であれば潜血反応がでる場合がありますし、あくまで「可能性」として、上記の病気を疑い、陽性反応が出た際は、2次検査として専門的な精密検査を受診することになります。
泌尿器科などで精密検査を
尿検査で潜血反応が出た場合、まずは泌尿器科等で精密検査を受けます。明らかに尿に血が混ざっていると分かる場合は別ですが、微量な潜血反応が出た場合であれば、そこまで不安になることもありません。しかし、精密検査で異常がなかった場合や、ほんの微量な潜血反応であったとしても、定期的な尿検査は行うように心掛けることが重要です。
尿潜血と腎臓病
尿潜血は、先にも述べたような腎臓や泌尿器科に関係する疾患が原因となる場合が多いのですが、これらの疾患には自覚症状が無い場合が多く、自覚症状が出た場合では、すでに重病化している場合があります。
腎臓は沈黙の臓器と言われる程に、自覚症状を覚え難い臓器です。普段から定期的な検査を行ない、早期発見することで、病状の早期治療を行なうことができますので、健康診断等で尿潜血が認められた場合は、微量であっても継続した検査を行なうことが重要といえます。
隠れ腎臓病
現在の日本には、「隠れ腎臓病」の人が、およそ2000万人はいるのではないかと言われています。隠れ腎臓病とは、腎臓の機能になんらかの障害を抱えているが、自覚症状が無い状態の人達のことを言います。
万一、腎臓の機能に重い障害を負ってしまえば、人工透析を受けることとなり、肉体的にも金銭的にも、大きな負担と不便な生活を強いられることになってしまいます。
「自分は健康体だから大丈夫」と過信するのではなく、定期的な尿潜血検査を受け、万一の場合でも早期発見で病変を発見することができれば、何らかの形で手を打つことが可能となるのです。
尿蛋白の陽性反応とは?
尿検査では、血液が混じっていないかの検査の他にも、尿淡白の反応検査を行なうことが一般的です。尿の中に蛋白が一定量以上含まれていた場合、陽性反応と診断されます。
健康体であっても、尿の中に蛋白は存在しています。しかし、腎臓や尿路系に異常があると、一定量以上の蛋白が排出されることになりますので、その結果、陽性反応が出てしまうのです。
もちろん、その日の体調やストレスの過多、風邪を引いている日や激しい運動の後で、尿に蛋白が混ざり、陽性反応が出る場合もあります。一回の尿蛋白検査で陽性反応が出たとしても、定期的に検査を行ない、経過を観察していくことが重要です。
2回目、3回目と、いずれも陽性反応が出てしまう場合には、さらに精密検査を行ない、腎臓や尿路系に異常が無いかの検査を行なうことが、病変の早期発見に繋が、早い段階で治療を開始することにも繋がるのです。